someとanyと冠詞類

someとanyは全く異なった感覚を持っています。

some

someはsomeone,something,somewhereといったように「ぼんやりと何かがある」イメージです。はっきりと分からず、いくつあるかも分かりません。theのように特定にハッキリ見えるのではなく、aのような1つのものが意識されている訳でもありません。

なにかが存在していることがぼんやりと確認できる、ぼんやりとした漠然とした存在感がsomeの持つイメージです。

このsomeの持つぼんやりとした存在感が、誰かに何かをすすめる時に活用されます。
Would you like some coffee?
すでにコーヒーは用意されて(コーヒーのぼんやりとした存在感が意識され)いつでも差し上げられる用意があるという背景が見えてきます。

someのぼんやりとあるは言いたくないことやぼかして伝えたいという場面でも活用されます。

そして興味が無いことを示すのにもsomeは使われます。
He is working for some company in Tokyo. どっかの会社。
some companyとcompanyの前のsomeは別にそんなことはどうだっていいんだ=東京のどっかの会社というニュアンスが出ます。

someはぼやけた感覚を出すので、単数複数を問いません。
aの代わりにsomeが使われている場面では、話者が意図的にぼかしていると言えます。

severalは「いくらかの〜」という意味ですが、someよりも遙かに鮮明なイメージです。
someは具体例を出せないぐらいぼかしたイメージ、severalは1つ1つにハッキリとイメージが浮かぶ「いくらか」のイメージの違いを覚えておきます。

anyは「選択の自由」

anyは「選択の自由」を意味します。何を選んでも、どれを選んでも、何を考えても、というイメージです。

「どれを選択してもよい」イメージから「選択の可能性を開くイメージ」がついてきます。

何だって、誰でも
Any actor can forget lines. どんな役者でも台詞を忘れることがある。
Anything goes. 何だってOK。
someとは違って誰と会うのか誰でもいい、というニュアンスになるので以下の文は成立しません
×:I met anybody.
正しくは、I met somebody.です。

どれでもいいので〜、なんでもいいので〜 という「選択する自由」が強調されるのがanyです。

someとanyのニュアンス

Do you need some help?
相手が助けを必要とすることを認めた上で、相手にそれを差し出す暖かさを感じる表現。
目の前に困っている人が居て、それを助ける用意がありますよ、という「ある」が感じられるあたたかい表現。

Do you need any help?
助力の必要があるとは考えていない平たい表現。
「何か助けがいりますか?」
どんな種類のhelpかどういう風に助ける必要があるのか意識しておらず、「何かいる?」と相手に可能性を開いた表現で、暖かいイメージはない表現。
もしくはフランクに相手に「なんかいる?」みたいに聞くときに使うとても軽い表現。

英語は物表現に敏感な言語

英語は物表現に敏感な言語です。the,a,some,anyなど冠詞類をついていない表現は具体的なイメージがつかない表現になります。
My family breeds dogs. うちは犬のブリーダーです。
明確な犬の姿は見えない、ただ「犬を飼うことを仕事にしている」ということを伝える表現。

冠詞類は「状況と言葉」を結びつける単語です。
具体的なイメージを持たないただの名詞につくことで、状況に応じた指定を行います。
つかない場合は具体的な量などのイメージはありません。
冠詞つくかつかないか、どの冠詞を名詞と結びつけるかで多くの情報を交換しているのです。

自分でも意識して冠詞類で情報を伝えていきましょう。

参考文献

・「ハートで感じる英文法 決定版」大西泰斗/ポール・マクベイ (著) NHK出版 2018/08/10