時制の一致

日本語では時制の一致はしなくても良いのですが、英語では時制の一致が基本になります。
時制の一致は発話者の「時を見る目線」があります。

「〜だと」のように、「内容を報告する動詞」+that…の形に注目します。saidなど、報告動詞が過去なら、that以下の内容も過去形になります。報告したのが過去なら、その内容も過去になります。

thatの後に完全な文が続く場合、動詞(V)+that…の形のVは報告動詞です。
I heard him sing a song at the party.
彼がパーティーで歌っているのを聞いた。→ブロックで二つ並べている文です。

I heard that he sang a song at the party.
彼がパーティーで歌を歌っていたと聞いた。that以下は完全な文で、hearの内容を報告しています。報告したのが過去なら、その内容も過去なので過去形sangになっています。

発言が過去に行われているのであれば、それに付随する内容も過去=過去形になります。

この背景にあるのが話し手の「時をみる目線」です。
過去という遠い出来事として見る(過去形)のか、今に繋がる現在の経験として見る(現在完了)のかの違いです。

時制の一致は常に発話者の視線の先にあって、例えば自制の一致をしない場合、現在に今まさに起こりつつある話題を強く発話者がプッシュしていることになります。
He told me Nancy is getting married. I was quite surprised!
彼が言った(He told me)は脇役になり、話題の前面にNancy is getting marriedを強く主張していることが分かります。

My staff informed me that you have a problem with one of our products.
カスタマーサービスではhaveのように時制の一致をさせないことで今お客様に迷惑がある事を発話者が意識しているという誠意が伝わる表現です。この文でhadと自制の一致をさせると、ただ部下から聞いた「伝聞」を伝えているだけの感情がこもっていない対応に感じます。

時制の一致が破られるときは感情がこもっている時です。

時制の一致をかけるか、かけないかは話し手の感性で決まります。発話者の視線による遠近感を感覚として掴みましょう。

参考文献

「ハートで感じる英文法 決定版」大西泰斗/ポール・マクベイ (著) NHK出版 2018/08/10