日本語にはない冠詞は非常にイメージしづらく、使い分けが出来ない分野です。
特にtheとaの使い分けに苦労されることが多いと思います。
今回は冠詞の中でtheを扱います。
theは「1つに決まる」が基本イメージです。
theは「1つに決まる」
theは「1つに決まる」、多くのものから絞り込んで1つのスポットライトが1つのものを照らしているイメージです。明確に一つのモノをイメージします。aは多くのものの中からの1つという意味合いで、明確にモノが見えてきません。
Please open the door. ドアを開けてください。
この場合、聴き手は一つの明確な、目の前にあるドアを開ける事になります。聴き手はどのドアを開けるのか明確に分かっているのです。
複数ドアがあった場合でtheを使いたいときはthe doorsとなります。複数のドアを1つのグループとして全部開けてください、という意味になります。
「1つに決まる」ことが重要です。
all around the world 世界中を
常識から私たちの世界は1つしかないので、theを使います。
ファンタジーや想像の世界や会話などで、複数の世界を想定する場合はaを使います。
Try to imagine a world in which there is no human, no sun, no water.
最上級でのtheも1つしかないのでtheを使います。
The Himalaya is the world’s highest mountain. ヒマラヤは世界で最も高い山です。(ヒマラヤは明確に1つしかない)
onlyの後には一つしか無いのでtheを使います。
My java sparrow is the only pet for me. 私の文鳥は私だけのペットだ。(1匹の明確な文鳥が飼い主の特別なペットであることをイメージする)
しかし、以下の例のように
She is an only child.
という例もあります。これは彼女は一人っ子という意味で、一人っ子の人は他にもたくさんいるから、特に明確に1つに決まっていない場合はa/anをつかいます。
「theが使われる時はいつも1つに決まる」という感覚を修得しましょう。
theの1つに決まるというイメージから、「他にはない」という意味も暗示します。
the reason(その理由)は数ある理由の中からまさにその理由で、と「他にはない」reasonを強調しています。このthe reasonは明確に会話や文脈で既に語られたreasonを指し示します。
a reasonになると、数多くある理由の中からの一つであって、どんな理由であるか明確なイメージは出来ません。
theは「他にはない」、「これで決まりだ」、「これしかない」のイメージを強く作り出します。
新聞紙名など固有名詞につくtheは唯一のものを示す王冠のような役割を果たします。theは「1つに決まる」から「際立っている」「誰もがそれと分かる」「きらびやかな」との唯一無二の印象をもたらします。
何かに特出したい、そうした想いが固有名詞の前につくtheに込められているのです。
明確な数字が述べられていなくとも、theがついていれば一つの(もしくは一つのグループ)であることが分かります。
■参考文献
・「ハートで感じる英文法 決定版」大西泰斗/ポール・マクベイ (著) NHK出版 2018/08/10