thatの用法

多くの用法があり、関係代名詞などで色々な解説がされるthatですが、その根幹となるイメージは「指し示す」ことです。

thatは「指し示す」

人でも、モノでも相手の言葉でもなんでも指すことができるのがthatです。
I want to speak with that colleague over there. あそこにいる同僚と話したい。
Please get me that cutter on the table. そこの机にあるカッター取ってください。
That’s all right それは大丈夫

形容詞や副詞といった名詞以外のモノとも結びついてそれらを指し示すことも出来ます。
I didn’t think yesterday was that hot! (昨日の天気の話の中で)昨日がそんなに暑いとは思わなかった。
I can’t get up that early (5時に起床との連絡が来て)そんなに早くは起きれないよ

そんなに〜を意味するthatはやはり何かを指し示しています。

この指し示す動作から、「導く」意味合いが生じてきます。thatは文を導きます。

Many tourists think that Japanese are kind. 観光客の多くが日本人が親切だと考えている。

thatで文を滑らかに丁寧につなげる感覚です。
論旨を注意深く展開しようとする場合はthatです。

省略可能とされるthatですが、thatを省略するかしないかは丁寧に文をつなげる感覚があるかないかです。
I think that he really hates me.
I think he really hates me.
彼は私が大嫌いだと思う
この場合、thatは省略するのが自然です。自分にとって不都合な内容がthatの後に続くので、thatでわざわざ丁寧に論旨を展開する(指し示す・導く)必要が無いからです。

名詞の内容を説明する同格のthatは、その名詞の内容を丁寧に導く感覚からthatを使います。
My diary that it was written 30years ago. 30年前に書かれた私の日記。
聞き手がどんな日記なのか分からないので、30年前のものだと説明しています。

I wasn’t aware of the fact that I took the wrong train. 電車に乗り間違えたことを気づかなかった。
factやreason、ruleやconclusionなど、内容の説明が必要な名詞の後につくthatはその内容を丁寧に導くために使われます。

関係代名詞のthatも導くイメージです。
This is the new restaurant that my father recommended. 私の父お勧めのレストランはここだ。
レストランと言ってから、どういう店か(父が推薦してくれた)の内容を導いています。

人でもモノでも関係なくthatは説明の内容を導くのです。ですので、thatが多用された文は丁寧な文です。丁寧な気持ちで文を紡いでいることが受け手に伝わるのです。

thatの有無は丁寧な気持ちかそうではない気持ちか、そうした微妙な心理のニュアンスが含まれています。

■参考文献

・「ハートで感じる英文法 決定版」大西泰斗/ポール・マクベイ (著) NHK出版 2018/08/10