生物学者・神経科学者でキャリア45年以上のジム・ハズペス(Jim Hudspeth)さんが耳を通じて私たちが音情報を聞き分ける事の神秘について語ります。優しい語り口ですが、内容は専門的、高度で長さも15分ぐらいあるのでTED初学者の人には難易度は高いと感じられるでしょう。実際アメリカに留学すると生物学のクラスでこういった感じの講義が行われます(実際はこれよりももっと早くてきついです)。TOEFLの生物学分野の対策になりますし、音楽や生物学にも関連する内容です。理系(生物系)の学術的な英語に慣れたいときにオススメの動画です。
( 分野【生物学】/ 難易度・専門性【9/10】*あくまで主観に基づく目安です。)
動画資料
概要
・本講演の主役は耳の「有毛細胞」。あらゆる聴覚体験を信号として脳に伝える箇所。
・様々な動物でそれぞれ異なる美しい秩序だった有毛細胞が見られる。
・周波数を聞き分けるために常に耳の細胞は信号をキャッチしようとしている。
・有毛細胞は細胞分裂で復活しないため、今後耳機能の低下に対して何ができるかが重要になる。
・非哺乳類の有毛細胞は死んだら新たに置き換えられるため、彼らの聴力は常に安定して力を発揮できる。この有毛細胞が再生されるときの分子シグナルを解読して人間に応用することができれば人間でも有毛細胞を復活できるようになるかもしれない。
耳は常に音信号をキャッチしようとしている話が印象深いです。例えば試験会場では誰かがペンを一つ落としただけですぐにわかる繊細さを耳は発揮しますが、ライブハウスなど大音量に囲まれている環境では耳は音をキャッチする能力を抑えるためにそうした音への繊細さを自ら抑制して行きます。
私たちが待機して休んでいるときでも常に耳の細胞は働き続けているし、環境の変化に適応しようと常に頑張っているのですね。
動物の有毛細胞をこの動画を見るまでは考えたことがありませんでした。哺乳類以外の動物の耳機能が劣化しない話には驚きます。確かに彼らの存在が人間の難聴問題を解決する鍵となるでしょう。
画像で覚える英単語
billionths 10億の
infinitesimal 微小の、微分の、極めて小さい、極微(きょくび、ごくび)の
hair cells 耳の有毛細胞
microscopists 顕微鏡学者の複数形
emanating 出る、発する、発出する
bristles 動物の剛毛、荒毛の複数形
apparatus 器具、装置、機構
sonar ソナー、音によって物体を探知する装置
crystalline 水晶のような、透明な、結晶体の
antenna アンテナ、カタツムリの角
filament 細糸、単繊維
stereocilia,stereocilium 不動毛(ふどうもう)
ion イオン(正または負の電気をもつ原子または原子団)
membrane 膜、薄い膜、膜組織
potassium ions カリウムイオン、神経伝達など多くの生理機能をもつ
calcium ions カルシウムイオン、骨石灰化や心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応においてなど様々な細胞レベルのプロセスで重要な役割を果たす。
impinges 〜に突き当たる、衝突する
ensues 後から起こる、続く、何かの後に続いて起こる現象
propagates 〜を繁殖させる、ふやす
amplifies 〜を増福させる、拡大させる
threshold 敷居、域、さかい、区切り、入り口、発端、はじめ
plummets おもり、釣り糸の重り、下げ振り糸の複数形、重り(錘)を糸で吊り下げたときの糸が示す方向、重力の方向、鉛直
nuances ニュアンス、意味合いの複数形
deteriorates 悪くする、悪化するの三人称単数形
faintest かすかな、ほのかなの最上級
snail-shaped cochlea カタツムリ型の蝸牛、(内耳の)蝸牛殻(かぎゆうかく),渦巻管
chickpea ひよこ豆
trembling 震え、おののくこと
auditorium (劇場などの)聴衆席、観客席、傍聴席、講堂
nonmammalian animals 非哺乳類動物
zebra fish ゼブラフィッシュ
【出典】
https://www.ted.com/talks/jim_hudspeth_the_beautiful_mysterious_science_of_how_you_hear?language=ja